雑所得・非課税所得
雑所得
1 雑所得とは
雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも分類されない所得をいい、公的年金等、非営利用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、出演料などが該当します。
2 公的年金等
①公的年金の種類
雑所得となる公的年金には次のものがあります。
イ 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法に基づく年金
ロ 過去の勤務に基づき会社等から支払われる企業年金
具体的には、事業者が信託銀行と締結している適格退職年金契約に基づいて使用人が受ける退職年金です。この退職年金等を一時金として受け取った場合には「みなし退職手当金等」に該当し退職所得となります。
ハ 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で上記①に掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するもの
②所得税も相続税も課税されない年金等
厚生年金や国民年金などの被保険者であった人が亡くなったことに伴い、遺族の方に支給される遺族年金や恩給については、所得税も相続税も課税されません。
③相続時は課税されるが、所得税は課税されない年金
確定給付企業年金法などに基づく遺族年金については、相続税の課税対象になりますが所得税は課税されません。具体的には以下の法律に基づく年金です。
イ 確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金
ロ 所得税法施行令第73条第1項に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する法律に基づいて支給される年金
ハ 法人税法附則第20条第3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金
④公的年金の計算方法
公的年金は、公的年金に係る収入金額から公的年金控除額を差し引いて計算します。
実務的には、次に掲げる速算表を使用します。
年金を受け取る人の年齢 | (a) 公的年金等の収入金額の合計額 | (b) 割合 | (c) 控除額 |
65歳未満 | 公的年金等の収入金額が700,000円までの場合は、所得0円 | ||
700,001円~1299999円 | 100% | 700,000円 | |
1,300,000円~4099999円 | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円~7,699,999円 | 85% | 785,000円 | |
7700000円以上 | 95% | 1,555,000円 | |
65歳以上 | 65歳以上 公的年金等の収入金額が1,200,000円までの場合は、所得0円 | ||
1,200,001円~3,299,999円 | 100% | 1,200,000円 | |
3,300,000円~4,099,999円 | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円~7,699,999円 | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 |
⑤公的年金からの源泉徴収
公的年金等の支払いを受ける者は、原則として収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引いた残額に5%を乗じた金額が源泉徴収されます。
3 公的年金以外のもの
① 公的年金以外のものの所得の計算方法
総収入金額-必要経費
② 公的年金等以外の年金を受け取った場合
個人年金保険契約に基づき支払いを受ける年金の課税関係は、保険料の負担者及び保険料の受取人が誰であるかにより課税関係が異なります。
イ 保険料(掛金)の負担者と年金の受取人が同一である場合
保険料の負担者と年金の受取人が同一の場合には、公的年金等以外の雑所得として所得税が課税されます。
雑所得の金額は、その年中に支払を受けた年金の額から、その金額に対応する払い込み保険料又は掛金の額を差し引いた金額です。
ロ 保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合
保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料の負担者から年金の受取人に対して、年金を受け取る権利の贈与が行われたものとみなされ、贈与税が課税されます。
ハ 年金に対する源泉徴収
上記イ及びロの場合には年金が支払われる際に次により計算した所得税が源泉徴収されます。
(年金の額-その年金に対応する保険料又は掛金の額)×10%
ただし、年金の年額からそれに対応する保険料又は掛金の額を控除した残額が25万円未満の場合には源泉徴収されません。
③先物取引に係る雑所得等の特例
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、一定の先物取引の差金等の決済をした場合には、その先物取引に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額の合計額については、他の所得と区分して20%(所得税15%、地方税5%)の税率による申告分離課税となります。
非課税所得
所得税の非課税所得について、主だったものを掲載します。なお、非課税所得について資産の譲渡による損失が生じても、その損失はなかったものとみなされます。
1. 年1%以下の当座預金の利子
2. 傷病賜金、遺族恩給、遺族年金等
3. 給与所得者の旅費
4. 非常勤役員等の出勤費用
5. 給与所得者の通勤費用のうち一定額までのもの
6. 給与所得者の職務上必要な現物給与
7. 国外勤務者の在外手当
8. 外国政府、国際機関等に勤務する職員の給与所得
9. 生活用動産の譲渡による所得
10. 強制換価手続による資産の譲渡による所得
11. 学資金等
12. 相続又は個人からの贈与による所得
13. 損害保険の保険金、損害賠償金
14. 葬祭料、香典等
15. 労働基準法による遺族補償等
16. 障害者の少額預金の利子所得等
17. 障害者等の少額公債の利子
18. 勤労者財産形成住宅貯蓄の利子
19. 勤労者財産形成年金貯蓄の利子
20. 納税準備預金の利子
21. 給与所得者が勤務先から住宅取得資金を無利息又は低利で貸付を受けた場合における経済的利益等
これらの詳しい内容につきましては税務署又は税理士にお尋ねください。